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リンドン・ラルーシュ経済学:ハイパーインフレーションとは

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リンドン・ラルーシュ氏は15日の金曜日のウェブキャストの中で、米国および前世界が直面している危機に関し、選択肢は「グラス・スティーガル法か大量死」であると強く訴えました。

さらに彼は、ハイパーインフレーションの爆発的加速度は既に転機を迎えており、この実体のないバブルを維持することは不可能であるのみならず、このシステムを牛耳る英国の帝国主義層でさえもこの崩壊は一線を越えるものであるという共通理解が浮上していることに言及し、言うなれば現状は、この危機を引き起こした張本人の意思に関わらず、現存する財政システムから市場に出回っている貨幣が完全に無効にされ、今や日々「新たな貨幣」を発行しそれを利用することで「選ばれし者」たちのみを肥やし、取り残された人々や現存するシステムを死に追いやるという現体制が終焉にあるということなのです。

結果として、歴史にもあるように、巨大なデフレ経済は崩壊し、つまりエレベーターがどん底まで急降下するような(これはあくまで一例ですが)、根底に至るまで倒壊するということです。このようなデフレ経済の崩壊は結果的に、現在の崩壊を上回る勢いで物理経済を崩壊に陥れ、それは大英帝国の望み通り、70億人を越える世界人口を10億人ほどに激減されることになるのです。

この現惨状に対する一種の共通理解を示唆するものとして、皮肉なことに、この財政システムを支配する、所謂“癌細胞”ともいえる人々の存在があります。ビル・グロースはその一人に当たります。彼は世界最大の債券取引会社「ピムコ」のCEOで最近「クレジット・スーパーノヴァ」と題する記事を掲載しましたが、これはワシントンD.C. の役人等や時勢に精通する人々の間でちょっとしたスキャンダルになりました。というのも、グロースは今日の全財政システムが自らを蝕む大火災に発展したことに言及し、GDPによる一ドルの生産高を維持するために、増え続ける金融商品や証券等を投資し続けなければならないと指摘したからです。

彼の問題定義には些か理解に苦しむ部分もあります。例えば、1970年あたりから1980年代にかけてGDPに換算された一ドルを産出するのに四ドルの投資・借金が必要になるとしています。もちろん、「借金・債務がGDPを産出する」という概念には賛同しかねますが、少なくとも彼は、増加し続ける米国の借金と停滞したままのGDPの関係に注目しているわけです。

グロース氏が使用した図表をここに挙げます。彼はこれを「爆発的スーパーノヴァ」と呼んでいます。彼はここで米国の借金の総額、つまり一般家庭、企業、政府の借金をすべて含んだもので、1975年に4兆ドルほどであったのが、現在55から60兆ドルにまで膨れ上がっていることを指摘しています。彼の解釈は、ここに見られるように、1975年にGDPの一ドルを産出するのに4ドルの借金を必要としていたのが、現在では20ドルほどになっており、彼はこれをクレジット・スーパーノヴァと呼んでいるわけです。

しかし、このグロース氏の解析は興味深く正しい方向を示唆してはいますが、現実はそれをはるかに上回っており、このハイパーインフレーションは肥大し続けた結果、前代未聞のバブル崩壊の寸前に至っているのです。このハイパーインフレーションを説明するために図表を用意しましたが、これは現状がグロース氏の予測とは比べ物にならないほど悪化していることを示しています。

実は、グロース氏の注釈の中にも、いわゆる「陰の借金」の存在を考慮していないとあります。この「陰の借金」とは財政商品、つまりデリバティブや証券等の派生的商品であり、そのバブルはグロース氏が語るGDPを上回る勢いで増加し続けている借金の現状を超越する勢いで加速的に増え続けていることを示しているのです。

この図表は先ず、ずっと下にある青い線は先ほど見せたグロース氏が参照する借金とGDPとの関係を表すもので、差は明らかです。

注目すべきポイントは、世界中に出回る財政商品の総量であり、その中心がデリバティブ、すなわち価値を上乗せされ続ける投機商品なのです。これはGDPとの関係をみると、グロース氏が語るGDPと借金の比率が4~5倍であるのに対し、GDPとデリバティブの比率は50倍に至るのです。これにより今日、一ドルのGDPを算出するのに500ドルの借金が必要になるのです。

つまり現状は既に制御不能状態に陥っているのです。

それでは次に、現在世界中に出回る財政商品の構成を見てみます。お分かりのように、この図は前回徹底調査・解析を行った2005年までとなっていますが、財政商品の当時の世界規模での総量はおよそ1,000兆ドル弱(10,000兆円あるいは10京円強)、つまりその商品同様、完全に意味を失い一人歩きしている状態なのです。重要な点は、世界中の財政商品の現実は、既に過大評価されている市場でも、グロース氏が語る米国あるいは第三世界全土の借金や他の直接的借金でもなく、大半はデリバティブによって構成されていることなのです。

では、デリバティブとは何なのでしょうか?

デリバティブとは根本的に、嘘と隠蔽工作により財政的損失をごまかす手法だといえます。つまり「破産だ!借金が返せない!」とするのではなく、この借金を担保にしてより危険な賭け・投機をすることで増え続ける借金を無効にしてしまう試みなわけです。

もう一つ例を挙げると、病的ギャンブラーが全てをすったにも関わらず日を改めず、その額を二倍にする条件で賭けを続け、そこで負けても更にそれを倍にし賭けを続けていくとします。デリバティブとは、この「倍額かゼロか」の手法であり、これにより現経済全体は巨額の損失を被っているいるのです。これが肥大した財政商品の実態であり、これがラルーシュ氏が言う現ハイパーインフレーションの爆発的進行を構成する主要因なのです。

では一つ明快にすべき要点は、典型的なインフレーションの定義は全くのナンセンスだということです。経済学を勉強した人たちの場合は、なおさらです。というのも最近の経済学ではインフレーションは多種多様であり、多くの金が少ない品々を求める現象などとしますが、これは馬鹿げています。あるいは、「コストプッシュ・インフレーション」という現象を挙げる場合もあります。これは労働者への賃金が物価の上昇を引き起こしているとするものですが、これも明らかにコスト削減のための言い訳にしか過ぎません。

更に「需要過剰インフレ」というのもありますが、それらを鵜呑みにすれば、何も理解せずして学位の一つや二つは手に入るでしょう。「需要過剰インフレ」などは、私に言わせれば学位の需要が学費を吊り上げているといった程度の理解だと言えるでしょう。

現状はこれらとは全く次元が違うものです。

更にいえば、現ハイパーインフレーションの実態を、「消費者市場での物価の上昇」といった簡略化された表現だけで納得してはならないということです。もちろん、物価の上昇は事実です。オバマ政権下、ガソリンの値段は二倍に跳ね上がりました。スーパーでの食品の価格が上昇しているのも事実です。これは財政バブルがデリバティブ等への投機を通して消費者市場へ影響を及ぼしているからです。

それでは、現在のハイパーインフレーションを圧力鍋に例えてみましょう。このハイパーインフレーションの圧力は財政商品バブルの内側で起こっていることが、このグラフを見ると分かります。しかし増し続ける圧力を永久的に抑えることは不可能であり、最終的には蓋を吹き飛ばし、あらゆる分野に影響を及ぼすことになるでしょう。今日、財政商品は実体のないまま急速かつ加速的に現システムに還元されており、その比率は「倍かゼロか」の原則にのっとられ増え続けています。

しかし、ハイパーインフレーションの真の危険は、ラルーシュ氏が教育目的で発明した「典型的な経済崩壊のモデル」あるいは「経済三曲線」にみることができます。

グロース氏の予報の中で唯一驚嘆に値する事実は、その予報に驚嘆した人々が存在するという事実です。というのも、ラルーシュ氏はこの予報モデルを1990年半ばに催されたバチカンでの経済国際会議にて発表しており、爆発的増加を続ける財政システム内のバブルの圧力とその後に起こる経済の崩壊を明らかにしているからです。

この「経済三曲線」に関し最も重要であり、また一般的に多くの人が難解だとする要点は、三つの曲線を総体的な「一つの現象」と理解しなければならないところだと思います。先ずはデリバティブ等の財政派生商品の増加率、更に通貨の総量、これは現世界経済のようなバブル経済では財政商品の増加率を上回る率で成長するわけです。ここで注意すべき要素は、この図表は「総量」自体を表すものではなく、「増加率」の関係を表すものだということです。これはつまり増加し続ける財政商品のバブルを維持するためには、それを上回る勢いで通貨を導入しなければならないからです。

ここでの最重要点となり、またラルーシュ氏の右に出る経済学者がいない理由となるのが、三つ目の曲線、「物理経済の投入産出率」であり、他の二つの曲線との関係なのです。ハイパーインフレーションとは、多すぎる金が小数の品々を追い求める現象ではありません。これはGDPとも全く関係しません。GDPは「物理経済」を反映しないからです。GDPとは、市場に存在するありとあらゆる物を貨幣経済に換算したものでしかないのです。

その一例として、IMF(国際通貨)は公式文献のなかで、コロンビア等にはびこる麻薬取引をGDPの計算に加えなければならないと主張します。なぜなら麻薬は「効果的需要」の高い産物でそれを望む人々は後を絶たないからだとするのです。

GDPは全くの虚偽であるというしかありません。それはただ麻薬のように破滅的かつ全く生産性を欠いたものが含まれ、(それを正当化するという意味では大学等で教諭する経済学者への給料も同様に破滅的であるといえますが)、その考えの基盤になっている「パラダイム」自信が本質的に誤っているからです。この前提にあるのは、物理経済の単位は財政的単位に換算して理解することができるという思い込みであり、事実は、物理経済の根底にあるのは人々の潜在的生産性の上昇率とその普及なのです。

物理経済での成功の鍵となるのは、個人の潜在的生産性を向上させ得る政策であるということです。つまり、科学とテクノロジーの創造的発展を通し、人類がこの宇宙に存在し続けるために必要不可欠である「エネルギー効率性密度」を高めていくことなのです。

これが物理経済に唯一適応し得る単位であり、またこれは変化し続ける単位でもあるのです。これは定規で測れる類の単位ではなく、創造力が物理経済の総体的構成とその「単位」さえも変化させて過程が重要なのであり、これがラルーシュ氏の「経済三曲線」に現れているのです。

シェークスピアは、現状にも似た惨状に関し、「時勢は接点を欠いている」といっています。今日、癌細胞のように増殖し続けるデリバティブ等の財政商品のバブルと物理経済崩壊の過程は完全に接点を欠いており、次世代がより効果的な人口密度の増加を続けるための手段を失いつつあるのです。

それでは次のグラフを見てみましょう。

これは世に言う「量的金融緩和 (QE )」とはいったい何なのかを示しているものです。これはブッシュ政権下で顕著になりましたが、オバマ政権下で特に悪化していったものの一つです。「量的金融緩和」政策は、ヨーロッパ中央銀行、日本銀行、イングランド銀行、そしてFRBのベン・バーナンキ等により押し進められているものです。2012年末期までの4~5年の間、つまりオバマ政権下にて、FRBが新たに発行した通貨の総量は今日2兆ドル強(200兆円ほど)となります。これまで「緊急金融援助」のために費やされた金額は更に次元を超える量なわけですが、この「新たに発行された」通貨の量が世界中の大銀行の貸し渋りを緩和したかというと、そうではないことは今や周知のものとなっているわけです。

つまり、この「量的金融緩和」は2兆半ドルほどで銀行の預金量はこの5年で1.6~1.7兆ドルに増加したわけですが、この金は他の銀行等に貸し出されたのでしょうか?もちろん貸し出されず、「倍かゼロか」のカジノ式経済に流出していったのです。事実、2兆ドル以上の資金を現財政システムに注入している真っ只中、銀行の貸出量は総額1兆ドルほども降下しているのです。要するにオバマ政権も支持するこの俗説は、表面だけをみても明らかに馬鹿げた虚構なのです。

しかしグロース氏の評価が現実には至らないのと同様に、これも事実とはおよそほど遠いというしかありません。というのも実際に貸し出された投資でさえ必ずしも「生産的」ではないからです。毎年の投資内容をざっと計測しても、おそらくその半分も生産的分野には投資されていないといっていいでしょう。残りは半分は当然「投機経済」に回されるわけで、銀行間での貸し借りや住宅融資バブルへの投機等に還元されるのです。

つまり現状はここにみられる数字より更に悪化しているのです。

ではここで現在の惨状を正しく理解するために、政策の結果を見てみることにします。というのも多くの人々は、例えば「国際通貨基金(IMF)の政策は公約通りに上手くは行かなかった・・・」とは「FRBの政策は状況を悪化させた・・・」などとよく言いますが、私はそうは考えません。私に言わせればIMFの政策は成功であったはずです。つまり彼らの政策の目的は人口を削減することだからです。FRBの政策は世界経済の復興などを目的としてはいませんでした。彼らの目的は「超インフレ的金融援助」を続けることで、世界規模の大量虐殺を決行することにほかならないからです。例えばギリシャの件は、IMFに言わせれば成功談であり、結果的にギリシャの人口は減らされていくでしょう。これが彼らの目的なのです。

大英帝国の政策は常に「人口削減」でした。これが現在の政策であり、今グラス・スティーガル法を適応しない限り、「目的」は達成されることになるでしょう。
ではここで、多くの見方がありますが、物理経済内での労働力を見てみましょう。ラルーシュ氏が示す三つ目の曲線、つまり生産的労働力の状況を理解することが、物理経済を理解する上で最良の糧となるのです。

もし唯一の「富の源泉」が労働力の向上にかかっているとするならば、当然最も重要となる経済的要因は、ただ若い人たちの雇用を増やすことではなく生産的雇用を彼らのために増やさねばなりません。そのためには教育の改善が必要であり、科学や古典文化、そしてテクノロジーのレベルを向上させ、全体的な「エネルギー流動密度」を高めていくことで、はじめて総体的な労働力の向上を現実化することができるのです。

では次に、スペインの例を挙げてみましょう。ギリシャの若者の失業率は62%であり典型的ですが、スペインでは過去10年ほどの間に、現実を過小評価する傾向のある公式統計でさえも、青色で示されている全国での失業率は26%に増加したとしています。これは既に緊急を要する惨事なわけですが、若者の失業率をみるとどうでしょうか。2012年の末期には18歳から24歳までの若者の失業率は50%を越えており、予報によると今年(2013年)の終わりまでに60%に達するであろうとされています。

現時点でのギリシャの公式統計によると若者の失業率は既に62%に達しているのです。

ここで一度立ち止まって、これが如何なることかを考えて見ましょう。国の存亡に関し、三分の二近くの若者が失業しているという現実は、どのような意味をもつのでしょうか。生産的であるかどうか以前に、彼には未来がないのです。国全体が滅んでいっているのです。

ここで私が問いたいのは、この状況と、大英帝国に触発され生み出されたヒットラーの強制収容所との違いは何なのでしょうか?

構造上、これらに全く違いはありません。これは大量虐殺を意図的に強要するものなのです。これは政策の問題であり、故にラルーシュ氏は今日私たちに残された唯一の選択しは、1933年フランクリン・D・ルーズベルト大統領が適応したグラス・スティーガル法とその原則を復活させるか、一般市民の大量死の二つに一つだとするのです。

最後に、グラス・スティーガル法とは何であったのかについて触れておこうと思います。この1933年に制定された法は、一般的にも投機的金融機関を生産的長期融資を行っている銀行等から隔離し、FDIC(連邦預金保険公社)を政府の一機関として設立することで建設的投資を保護していくものでした。しかし、グラス・スティーガル法の撤廃(1999年)により今日の「癌細胞」が世界市場に蔓延していったのです。

このグラス・スティーガル法は、我々の(米国)憲法にもあるように、前文を伴っています。この前文はほんの一文に過ぎませんが、この法の原則を表現しています。ここでその第一文を読もうと思います。

「条項:銀行の資産をより安全かつ効果的に活用し、銀行間の取引を規制し、法外な投機的活動等を防ぐことを目的とする。」

私たちの指標となるべき原則はここにあるのです。そこに戻りさえすれば、新たな世界財政システムを構築し、投機バブルを一掃し、大量死を防ぎ、信用を回復することで、新たな「クレジット」をNAWAPA(北米灌漑電力機構)等の大規模インフラ事業に回していくことができるのです。そうすれば若者をただ雇用するだけでなく、彼らが本来人間として備えもっている素質、つまり創造力を生かし、科学や古典文化を更に躍進させ得るのです。それ故に、ラルーシュ氏は現在において「グラス・スティーガル」か「大量死」しか、我々に道はないと定義しているのです。